お知らせ 2020年度
製品
日刊工業新聞社 第63回「十大新製品賞」 BNCT治療システムNeuCure®およびBNCT線量計算プログラムNeuCure®ドーズエンジンが「日本力(にっぽんぶらんど)賞」を受賞しました

2021年01月05日

住友重機械工業株式会社(社長:下村真司、以下 当社)の、加速器を用いたBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)治療システムに関して、BNCT治療システムNeuCure®、ならびにBNCT線量計算プログラムNeuCure®ドーズエンジンが、日刊工業新聞社主催の第63回「十大新製品賞」において、日本力(にっぽんぶらんど)賞」を受賞しました。同賞は、日本のモノづくりを代表する、世界に影響を及ぼす製品に与えられる賞です。本BNCTシステムは京都大学との共同研究の成果を当社のものづくり技術で、世界に先駆けて商品化・医療機器化したものであり、正にオールジャパンの技術・製品が評価されたものと考えています。当社は今後も加速器を用いたがんの診断・治療分野において世界に向けた挑戦を続けていきます。また、がん治療の新たな選択肢の一つとして、BNCTが採用されることを期待しています。

■BNCTについて
BNCTは、がんの放射線治療の一種であり、その治療法は、がん患者にがん細胞に選択的に取り込まれるホウ素(Boron-10)を含有するBNCT用ホウ素薬剤を投与し、がん細胞内にホウ素(Boron-10)を選択的に取り込ませた後、体外からエネルギーの低い中性子を照射するというものです。このとき、体内ではホウ素(Boron-10)原子核が中性子を捕獲して核分裂反応を起こし、この核反応により細胞にダメージを与えるエネルギーをもつα粒子(ヘリウム原子核)とLi 反跳核(リチウム原子核)が放出されます。これらの荷電粒子は、体内ではそれぞれ約9μmおよび約4μmの飛程しか持たず、この飛程はおよそ細胞1個分の大きさに相当します。これらの特徴により、理論的には、周囲の正常な細胞等をほとんど傷つけることなく、ホウ素(Boron-10)を取り込んだがん細胞を細胞レベルで選択的に破壊することが可能となります。

■当社製品の特長
【BNCT治療システムNeuCure™(ニューキュア)】
本システムは、当社が約50年間にわたり蓄積してきた物理研究用および医療用サイクロトロンとそのビーム制御技術にもとづいて開発した高電流タイプ30MeV AVFサイクロトロンとそのビーム制御システムをベースに、2007年から開始した京都大学複合原子力科学研究所(大阪府泉南郡熊取町)との共同研究により開発した医療用中性子照射装置です。サイクロトロンから取り出される陽子ビームを中性子に変換するターゲットにはベリリウムを用い、医療機関などに求められる安全性、安定性に優れているのが特徴で、病院内への設置が可能になりました。

加速器を用いたBNCTシステムおよびBNCT用サイクロトロン
加速器を用いたBNCTシステムおよびBNCT用サイクロトロン

BNCT治療室および移動式治療台
BNCT治療室および移動式治療台

【BNCT線量計算プログラムNeuCure™ドーズエンジン】
BNCTの線量計算は、中性子の挙動を体内構成元素と合わせて詳細にシミュレーションする必要があることから、モンテカルロ法による計算プログラムが必須になります。本プログラムではモンテカルロコードに、PHITSと呼ばれる計算コードを使用しています。PHITSは国立研究開発法人日本原子力研究開発機構において開発された、グローバルに使用実績のある汎用モンテカルロコードです。当社はこのPHITSに対して、BNCTの線量計算を可能にする機能に加え、セキュリティチェックを含む外部I/Fなどの機能を追加しBNCT線量計算専用のドーズエンジンとして開発しました。腫瘍輪郭の設定や線量計算後の各種計画評価、レポート出力などのユーザインタフェースにはレイサーチ・ジャパン株式会社が製造販売する汎用放射線治療プログラムのRayStationを用いており、これとの併用で治療計画システムを構成します。

BNCT治療計画システムの構成と当社ドーズエンジン
BNCT治療計画システムの構成と当社ドーズエンジン

治療計画画面の例
治療計画画面の例

参考1:当社は、加速器利用によるBNCT治療システムについて、2007年より京都大学複合原子力科学研究所と共同開発を進め2009年に同システムを同研究所に設置しました。2015年以降、国内に2システムを納入しております。一方、京都大学などと非臨床試験および第Ⅰ相臨床試験を経て2016年から新たに南東北BNCT研究センターも加わり、第Ⅱ相臨床試験を開始しました。2017年に先駆け審査指定制度による指定を受け、2020年3月に、切除不能再発頭頸部がんについて、BNCT治療システムおよびBNCT線量計算プログラムが、医療機器承認を取得しました。同年6月には保険収載され、保険診療が開始されています。

参考2:PHITS“Particle and Heavy Ion Transport code System”は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)において開発されたモンテカルロコードで、世界中に4,000名以上のユーザを持ち、さまざまな放射線挙動をシミュレートした実績のある汎用モンテカルロコードです。

参考4:RayStationは、スウェーデンに本拠地を置くRaySearch社が製造販売する治療計画ソフトウェアです。RaySearch社は、2000年にカロリンスカ研究所(ストックホルム/スウェーデン)からのスピンオフで設立された会社で、先進ソフトウェアの技術開発をベースに、がん放射線治療分野にRayStationを含むさまざまなソフトウェア製品を供給しています。RayStationのソフトウェア製品は、65カ国以上の2,600以上の施設で使用されています。

■注意事項
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