重要課題の特定
住友重機械グループでは、2017年3月に経営理念をもとに当社グループのサステナビリティの目指すべき姿として「CSR長期目標」を制定し、取り組みを推進してきました。
近年、社会が抱える課題に対して、事業活動を通じて具体的にどのように取り組んでいくのかが改めて重要視されています。今後も当社グループが社会とともに成長し続けるために、事業活動を通じて優先的に取り組むべき7つの重要課題(マテリアリティ)を特定しました。
特定した重要課題を「価値創造の重要課題」と「基盤となる重要課題」の2つのカテゴリーに大別し、前者は機械メーカーとしての強みを活かして社会に貢献する課題、後者は社会の一構成員である企業として貢献する課題として位置づけました。
価値創造の重要課題

- よりよい暮らし・働き方の実現
- 別子銅山の「工作方」として生まれた当社は、苦役からの解放といった労働生産性の向上に始まり、現在は先端技術を応用した生産設備、水処理等のインフラ・エネルギーの安定供給に関わる装置で、人々のよりよい暮らし・よりよい働き方を実現します。

- 環境負荷の低減
- 機械を中心とする当社製品全てにおいてエネルギー効率の向上は必須です。また多様な資源を使用して機械を製造するうえで、新たな資源は極力使用せず、廃棄物を減らすサーキュラーエコノミーの考え方に則り、事業を循環型にしていきます。ライフサイクルを通じた温室効果ガス排出量の削減を通じて、気候変動問題に対処します。
基盤となる重要課題

- 従業員の安全・健康・育成
- 「安全とコンプライアンスは全てに優先する」を合言葉に、従業員の安全確保は機械製造業として最重要な課題です。安全に加え、従業員の健康増進も企業の課題ととらえ、職場を通じて健康管理・治療促進を行っています。従業員教育は、社会に役立つ人材の育成と考え取り組んでいます。多様な人材が能力を発揮できる組織づくり、労働時間の削減を通じたワークライフバランスの実現にも取り組んでいます。

- 製品品質の確保
- 機械メーカーとして、品質管理を徹底し、お客様と約束した納期を守り、供給責任を担うことは事業の基本として取り組んでいます。

- ガバナンスの強化
- 経営の透明性を確保し、適切な監督を行い、経営の効率を向上します。業法遵守体制づくり、情報セキュリティの向上、公正な事業慣行を実践します。サプライチェーンにおけるサステナビリティの実践にも取り組みます。

- 情報開示の充実
- 自社の取り組みをステークホルダーのみなさまにご理解いただけるように非財務情報の開示に努めます。

- 地域との共存・共栄
- 操業を受け入れていただいている製造所をはじめとする事業拠点において、地域のみなさまからの期待に応え、事業活動に理解をいただけるように協働に努めます。
特定プロセス
- (1)課題の抽出
- 機械メーカーに求められる課題を理解するために、SDGs,SASB,ISO26000,GRIスタンダード、同業他社の取り組みを参照しサステナビリティ課題を抽出しました。

- (2)課題の絞り込み
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社会・ステークホルダーにとっての重要度
抽出した課題のマッピング 本社14部門、主要な15事業部門へのサステナビリティ課題の説明と対話を重ね、外部アドバイザーの意見も取り入れながら課題の社会へ与えるインパクトの大きさ、当社グループにとっての重要度の2軸で評価を行い、課題を絞り込みました。執行役員で構成される経営討議、事業戦略会議において経過を報告し、執行役員の意見を募り、絞り込みに異存がないことを確認しました。

- (3)有識者ヒアリング
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サステナビリティの専門家のご意見をいただくために、吉高まり様※にご教示をいただきました。吉高様からは「価値創造の課題は環境に関するものだけではなく、社会(労働人口の減少)に関する課題も織り込むこと」といったご意見をいただきました。
- ※三菱UFJリサーチ&コンサルティング 経営企画部 副部長 プリンシパル・サステナビリティ・ストラテジスト

- (4)取締役会での決議
- 社内の意見、有識者ヒアリングを経て、課題の枠組み・重要度を見直しました。20年3月の取締役会において、経営の重要事項として決議しました。
今後も社会課題の変化を注視し、重要課題を点検し、見直しを行います。
今後の取り組み
当社のサステナビリティは17年度に専門部署による本格推進を開始し、17-19年度で初めての中期CSR計画を作成しました。
サステナビリティ推進の目的は、当社グループの経営判断や事業活動のあらゆるプロセスに環境・社会への視点を加えることです。これまでは社内の教育・啓発活動に重点を置いてきました。今後は多様なステークホルダーからの要請を丁寧に分析し、要請を正しく理解し、関係部門が連携して重要課題の取り組みの充実、情報開示に努めます。