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サイクロトロン
サイクロトロンは、磁場に垂直な面で旋回運動する荷電粒子を、旋回に同期した高周波電界で加速する装置です。サイクロトロンには、PET放射性標識化合物の製造用あるいは半導体照射用の低エネルギー・タイプから、SPECT放射性同位元素製造用または核物理学用の高エネルギー・タイプまで、様々な種類があります。
AVFサイクロトロン
AVFは“Azimuthally Varying Field"(方位角的にに変化する場)の略で、ビームを軸方向に収束させるために磁場が方位角(ビーム進行)方向に強弱交互に変化します。
サイクロトロンでは、加速領域の全域に渡って等時性の条件が成り立つように、加速エネルギーの増大とともに増加していく半径に対して磁場も強くしていきます。径方向の磁場増大は軸方向にビームを発散させるので、加速粒子の軌道にそって磁場の強弱を交互につけることによってビームを収束させます。このAVFサイクロトロンの出現によって荷電粒子を高いエネルギーまで加速することが可能になるとともに、大きなビーム電流が得られるようになり、放射性同位元素の製造等も効率的に行えるようになりました。 (写真は国立研究開発法人 理化学研究所様)

仕様
項目 | モデル | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
370V | 480 | 560 | 750 | 930 | ||
加速エネルギー | 陽子(MeV) | 18 | 4-30 | 5-42 | 25-70 | 6-90 |
重陽子(MeV) | 9.5 | 7-15 | 10-21 | 12.5-35 | 10-50 | |
3He | 24 | 11-40 | 15-52 | 20-90 | 16-130 | |
4He (α) | 14 | 14-30 | 20-42 | 25-70 | 20-100 |
リングサイクロトロン
AVFサイクロトロンの一種で、磁石は放射状に複数のセクターに分割されています。
AVFサイクロトロンの限界は、ビームをサイクロトロンから取り出す部分にあります。K値が100
MeVを大きく超えるサイクロトロンではリングサイクロトロン(またはセパレートセクタサイクロトロン)方式が採用されます。その原理はAVFサイクロトロンと同じですが、複数個の独立したセクター電磁石により構成され、等磁性磁場はこのセクター電磁石により形成されます。
住友重機械では、1号機を4基のセクター電磁石からなる4セクターサイクロトロン(RRC)を理化学研究所様に納入しました(写真)。リングサイクロトロンと重イオンライナック及びAVFサイクロトロンを組合わせることにより、陽子からウランまで多くの粒子を加速します。2号機として、6基のセクター磁石よりなる6セクターリングサイクロトロンを大阪大学核物理研究センター様へ納入しました。
前述のAVFサイクロトロンと比較したリングサイクロトロンの特徴として以下のようなことが挙げられます。

1 | 磁石部分(ヒル部分)と磁石外部(バレー部分)の磁場の差を大きくでき、入射領域でも垂直方向の収束力を大きくすることができます。 |
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2 | RF共振器を磁石外部に置けるので共振器の設計自由度が大きく、比較的容易に高い加速電場を得ることができます。 |
3 | 複数個のセクター磁石で構成されるために、AVFサイクロトロンより大型化が容易です。同じイオンの加速では、ターンセパレーションを大きくすることができます。 |
仕様
項目 | モデル | |||
---|---|---|---|---|
S-6A | S-4A | S-4B | ||
軌道偏向系 | セクター磁石数 | 6 | 4 | 4 |
入射半径 | 2 m | 0.89 m | 2.77 m | |
取出半径 | 4 m | 3.56 m | 4.15 m | |
全重量 | 2,200 t | 2,100 t | 2,800 t | |
加速系 | 加速共振空洞数 | 3 | 2 | 2 |