千葉テクノロジーセンターで開催している「人気機能デモ」では、実機を用いたデモンストレーションを通じて、省エネ・省人化・省力化を実現する機能をご紹介しています。
その中でも、特にお客様からの関心が高かった、成形機と周辺機器の取り組みをお届けします。
近年、成形現場では品質要求の高度化に伴い、型内圧センサをはじめとする外部センサを活用した品質管理への関心が高まる一方で、取得したデータを十分に活用できていないケースも少なくありません。
本記事では、金型内の状態をデータとして見える化する「センシング」の重要性と、双葉電子工業株式会社様の「型内圧センサ」と当社の「品質管理パッケージ」を組み合わせた、品質改善や不良解析につながるソリューションをご紹介します。
射出成形では、成形機から取得できる射出圧力や計量時間、スクリュ位置などの情報だけでは見えない現象が数多く存在します。
例えば、バリやショートが頻発したり、製品重量がばらつくといった不良が発生した場合、本当に知りたいのは、「金型の中で何が起きていたのか」ではないでしょうか。
しかし、金型内部の状態を直接確認することはできません。いわば、金型はブラックボックスです。
そのため近年では、金型内の樹脂圧力や樹脂温度、金型温度、金型冷却水流量などをセンサで計測し、金型内の状態をデータとして把握する取り組みが広がっています。
これらのセンサデータを活用することで、これまで経験や勘だけでは判断が難しかった成形状態の変化を数値で把握できるようになります。
様々なセンシングの中でも、品質との相関が高いデータとして広く活用されているのが型内圧です。成形品が形成される最後の地点に型内圧センサを設置し、金型内部の樹脂圧力を測定することで、バリやショート、キャビティ間・ショットごとのばらつきなど、製品品質に関わる変化を捉えることができます。
そのため、型内圧データは不良解析だけでなく、良否判定や品質監視など、品質管理を支える重要なデータとして活用されています。

一方で、型内圧センシングは、製品開発や試作段階では活用されているものの、量産工程で継続的に運用するには、コストや設置性が課題となることがあります。
双葉電子工業株式会社様では、エジェクタピン形やボタン形など、金型構造や設置条件に応じた型内圧センサを展開されています。既存のエジェクタピンと置き換えて使用できるタイプもあり、金型への加工を最小限に抑えながら導入できるケースもあります。
そのため
といったニーズに応じて、段階的に導入を進めることも可能です。
実際に、自動車部品や医療関連部品などの、高い品質安定性や寸法精度が求められる製品の現場では、開発段階だけでなく量産工程における品質監視にも活用されています。さらに、品質管理の目的や求められる管理レベルに応じて、型内圧に加え、樹脂温度や金型温度などのセンシングデータを活用することも可能です。
型内圧センサをはじめとする外部センサによって、これまで見えなかった金型内部の状態を把握できるようになりました。
しかし、データを取得するだけで品質改善につながるわけではありません。
実際の現場では、
といった課題を抱えているケースも少なくありません。

つまり、多くの現場では「データは取得できているが、それを品質改善につなげる仕組みが整っていない」という課題が存在しているのです。
せっかく取得したセンサデータも、必要な時にすぐ確認できなかったり、成形機データと合わせて分析できなければ、その価値を十分に引き出すことはできません。
このようなことができるようになれば、不良解析の効率化や品質監視の強化、さらには品質記録の自動化にもつなげることができます。
こうした課題を解決し、取得したセンサデータを品質改善に活かすための仕組みが、当社の品質管理パッケージです。
品質管理パッケージでは、各種センサから出力される電流・電圧などのアナログ信号を成形機に取り込むことができ、型内圧や樹脂温度、金型温度などのセンサデータを成形機上で一元管理できます。これにより、従来は別々に管理されていた情報を、一つの環境で確認・記録できるようになります。
不良が発生した際、原因を特定するためには、成形機データだけでなく、型内圧や樹脂温度などのセンサデータも確認する必要があります。しかし、データが別々のシステムに保存されていると、成形機のどのショットと対応しているのかを確認するだけでも手間がかかります。
品質管理パッケージでは、これらのデータを同じ画面で確認でき、例えば充填圧力や型締力と型内圧波形を重ねて表示することも可能です。良品と不良品の違いを比較しやすくなり、不良解析や条件検討にかかる時間の短縮につながります。
成形機データだけでは把握しきれない変化も、外部センサデータを監視対象に加えることで検出しやすくなります。例えば、型内圧ピーク値の変化、充填時の圧力波形の変化、樹脂温度のばらつきなどを監視することで、まだ製品には不良として現れていない異常を早い段階で発見できる可能性があります。
また、良品時のデータを基準として管理することで、品質判定への活用も可能になります。
ショットごとのデータをロギングデータとして保存できます。成形条件だけでなく、型内圧や樹脂温度、流量などのセンサデータもあわせて記録できるため、生産履歴の管理、品質記録の保存、トレーサビリティの確保にも役立ちます。
「いつ、どの条件で、どのようなデータだったか」を振り返ることができるため、顧客からのお問い合わせや品質確認が必要になった場合にも安心です。

このように、品質管理パッケージによりデータを一元化することで、分析・監視・記録を効率化することが可能です。
これまで「取得するだけだったセンサデータ」を、「品質改善に活かせるデータ」へ変える。それが品質管理パッケージの大きな価値です。
品質管理の現場では、不良解析だけでなく、顧客からのお問い合わせ対応、品質監査、生産履歴の確認など、過去のデータから必要なデータを抽出する機会が数多くあります。
成形機データとセンサデータが別々のシステムで管理されている場合、膨大なデータからそれぞれのデータを検索し、対象ショットを正確に照合する必要があるため、1回あたりの作業時間が長くなりがちです。
品質管理パッケージでデータを一元化すれば、日々の作業時間や作業負担を軽減し、大幅な業務改善につなげることが可能です。
当社試算では、例えば5000ショット分のデータに対し、抽出・分析作業に1回あたり2時間を要していたものが、データの一元化によって半分に短縮されると見込んでいます。
この作業を管理台数5台の現場で、1日1回、年間200日実施すると仮定した場合、年間1,000時間の工数削減効果となります。
これにより、データ確認・分析工数の削減に加え、作業負担の軽減と業務効率の向上を実現します。

品質管理では、不良品の流出を防ぐため、少しでも異常が疑われる製品を不良品として扱うことがあります。
しかし、成形機データだけを基準に判定する場合、本来は良品であっても、「念のため不良」として排除されてしまうケースがあります。
一方、製品品質との相関が高い型内圧データや、金型温度、金型冷却水流量などのセンサデータを監視対象に加えることで、より実態に合った良否判定が可能となります。その結果、良品と不良品をより正確に判別でき、不要な廃棄の削減につながります。
例えば、成形機データのみで判定した場合、「念のため不良」と判定される製品が1日あたり80ショット発生している現場を想定します。
センサデータによる監視を追加することで、そのうち60ショットを良品として判定できた場合、1ショットあたり100gだとすると、1日あたり6kgの樹脂を削減することができます。管理設備5台の現場で、年間200日稼働とした場合、年間6トンの樹脂廃棄削減効果となります。
さらに、樹脂単価を600円/kgとした場合、年間360万円の材料ロス削減効果が期待できます。また、材料費だけでなく、不良品の再利用や廃棄処理にかかる作業時間の軽減、生産数の向上にもつながります。

先日、当社が大阪テクノロジーセンターで開催いたしました、不良対策や波形管理、設備保全のノウハウをお伝えする『成形最適化・設備管理 実践セミナー』でも、双葉電子工業株式会社様の型内圧センサと当社の品質管理パッケージをご紹介しました。
セミナーの様子
その中で、双葉電子工業株式会社様の段取り替えの効率化を実現する「カセット式樹脂試験金型」を用いたデモンストレーションを実施し、成形機画面上で型内圧や型内樹脂温度の変化を波形データとして確認いただきながら、品質管理パッケージによるデータの取得・活用方法をご覧いただきました。
また、双葉電子工業のご担当者様からも、センシングによって得られたデータを条件出しにどのように活用できるのか、実際の事例を交えて解説いただきました。金型内部の状態を可視化し、品質管理や不良解析に活かす具体的なアプローチは参加者から特に関心を集め、実際の運用を想定した質問が多く寄せられました。
左:カセット式樹脂試験金型と型内圧センサ配線 右:圧力・金型温度中継アンプ
品質管理の第一歩は、データを取得することです。そして、取得しただけで終わらせず、データを活用し、品質改善につなげることが重要です。
型内圧をはじめとするセンサデータを品質管理パッケージで一元管理することで、見えない金型内部の状態を見える化し、分析・監視・記録を効率化することができます。
取得したデータを品質改善に活かす仕組みとして、品質管理パッケージと型内圧センシングの組み合わせを、この機会にぜひご検討ください。
本記事でご紹介した機能は、千葉テクノロジーセンターで開催している「人気機能デモ」にて、ご体感いただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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本記事でご紹介した品質管理パッケージについて、具体的な操作画面をご覧になりたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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