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設備連携のその先へ  ー OPC UA通信による現場改善とデータ活用

設備連携は特別なものではなくなっている

近年、成形現場では人手不足への対応や生産性向上を目的として、設備同士をつなぎ、情報を共有する取り組みが進んでいます。OPC UAをはじめとする標準通信規格への対応が進み、設備同士をつなぐ仕組みは以前に比べて導入しやすくなっています。
人気機能デモでも、多くのお客様が設備連携に関心を持たれている一方で、「設備をつなぐことで実際の業務がどう変わるのか」「どのようなメリットが得られるのか」といった点については、まだ具体的にイメージしにくいという声も少なくありません。

そこで本記事では、株式会社松井製作所様の金型温度調節機「MC6シリーズ」と当社の射出成形機を連携させた事例をもとに、設備連携による業務効率化やヒューマンエラー防止の取り組みをご紹介します。

温調機を「見に行く」作業、負担になっていませんか?

成形現場では、段取替えや生産中の確認作業のために、成形機と温調機の間を何度も往復することがあります。
温調機は金型温度を管理する重要な設備であり、運転状態や設定温度、現在温度の把握に加え、異常発生時にはアラーム内容の確認も必要です。しかし、これらの情報を把握するたびに温調機まで移動しなければならず、複数台の設備を管理する現場では大きな負担となっています。

また、こうした移動や確認作業が増えることで、設定変更忘れや起動忘れといったヒューマンエラーのリスクも高まります。成形条件を切り替えたにもかかわらず、温調機だけが以前の設定のままになっていたり、起動を忘れていたりすると、不良品の発生や立上げ時間の増加につながります。

こうした作業負担や見過ごされがちなロスを減らす方法として注目されているのが、OPC UA通信を活用した成形機と温調機の連携です。

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設備連携によって、現場の運用はどう変わるのか

株式会社松井製作所様の金型温度調節機「MC6シリーズ」と当社の射出成形機は、OPC UAで接続することが可能です。
連携することで、温調機の運転状態や設定温度、現在温度、アラーム情報などを成形機画面で一元的に確認できるようになります。オペレータは温調機の設置位置まで移動することなく、状態確認はもちろんのこと、温度設定の変更、運転の開始・停止などの操作を成形機画面から行うことができます。異常が発生した場合も、アラーム内容が成形機画面へ表示されるため、状態の把握や復帰操作を迅速に行えます。
また、温調機を型締装置下などアクセスしにくい場所に設置した場合でも、成形機画面から確認や操作を行えるため、作業負担の軽減に加え、レイアウトの自由度向上や省スペース化にもつながります。

さらに、成形機側の監視機能は、温調機の起動忘れ防止にも役立ちます。温調機が所定の温度範囲に達していない場合は全自動・半自動運転へ移行できないため、十分な温度管理が行われないまま生産を開始してしまうリスクを低減できます。
また、温調機の設定値は成形条件と連携できるため、成形条件呼び出し時に温調機側の設定も自動で反映されます。これにより、段取り替え時の設定変更忘れといったヒューマンエラーの防止にもつながります。
加えて、温調機の消費電力量を成形機画面へ表示することで、成形セル全体のエネルギー使用状況を把握しやすくなり、省エネ活動や設備運用の改善にも活用できます。jp-0075-02.png

こうした設備連携そのものは、従来からさまざまな通信方式で実現されてきました。
一方、OPC UAの大きな特長は、設備の情報を単なる監視・操作にとどめず、標準化されたデータとして活用できる点にあります。
プラスチック成形業界では、 EUROMAP規格に基づく標準化が進んでおり、異なるメーカー同士でもスムーズなデータ連携が可能です。これにより、成形機と周辺機器との連携にとどまらず、MESやロボットなども含めた設備全体のデータ活用とシステム連携を見据えた環境づくりに貢献します。

このように、温調機を「見に行く」「操作しに行く」といった作業を削減しながら、将来的なシステム連携まで見据えられる点が、OPC UAの大きな特長といえます。

OPC UA通信の導入によるメリット

無駄な移動時間削減

成形機と温調機をOPC UAで接続することで、温調機の状態確認や操作を成形機側から行えるようになり、設備間の移動を削減できます。
当社試算では、1台あたり1日10回の確認を行う現場を想定した場合、成形機と温調機間の往復距離を10mとすると、1日当たり100mの移動距離となります。これを年間稼働日数を244日、設備5台として換算すると、作業者は"温調機の確認・操作のための移動"に約122kmの移動、約34時間を費やしていることになります。
人件費を3,000円/時間として換算すると、年間約10万円のコストに相当します。

温調機の確認や操作は必要ですが、設備間の移動そのものは製品の品質向上に直接つながるものではありません。成形機画面から確認・操作が行えるようになることで、こうした移動に伴うロスを削減し、段取改善や品質管理など、より付加価値の高い業務に時間を充てることができます。

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ヒューマンエラー防止によるロス削減

成形機と温調機の条件を連携することで、設定変更漏れや設定忘れを防止でき、不良品の発生や再立ち上げに伴うロスの削減が期待できます。
当社試算では、1台あたり年間10回の設定ミスが発生し、その都度、再立ち上げに1時間必要になると仮定した場合、設備5台とすると、年間50時間の工数が発生します。
人件費を3,000円/時間として換算すると、年間約15万円の損失に相当します。さらに、設定ミスによる損失は時間だけでなく、再立ち上げ時には樹脂の廃棄や余分な電力消費が発生しています。

一度の設定ミスは小さなトラブルに見えても、その裏では工数・材料・エネルギーといったさまざまなロスが発生しています。設備連携によってヒューマンエラーを未然に防ぐことで、品質の安定化だけでなく、生産現場全体の無駄を減らすことにもつながります。

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設備連携のその先へ

今回ご紹介した機能は、温度や消費電力量などの情報を活用した運用改善が中心ですが、OPC UAは特定メーカーに依存しないオープンな通信規格ですので、温調機以外の周辺機器との接続や、MESなどの上位システムとのデータ連携にも活用できます。

成形機と温調機の連携は、スマートファクトリー実現に向けた第一歩です。設備同士をつなぎ、そこで得られるデータを活用することで、より効率的で持続的な生産環境の構築が可能になります。まずは、「温調機を見に行く」「温調機を操作しに行く」といった日々の課題を見直すところから、設備連携の第一歩を踏み出してみませんか。

株式会社松井製作所様と当社の更なる挑戦

株式会社松井製作所様と当社千葉テクノロジーセンターでは、センシング技術を活用した新たな取り組みを進めています。  
温度や流量、圧力などから設備の状態をより詳細に把握できるようになれば、蓄積したデータから異常の予兆を捉える予知保全や、AI分析による生産性向上など、より高度なデータ活用につなげられる可能性があります。
「自社の課題解決に活用できないか」とお考えの方や、こうした取り組みにご興味のあるお客様は、ぜひご連絡ください。

本記事でご紹介した機能は、千葉テクノロジーセンターで開催している「人気機能デモ」にて、ご体感いただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。
射出成形機 "人気機能デモ" 開催のご案内/お申込みはこちら

※成形機と温調機のOPC UA通信をご利用いただくには、成形機側・温調機側ともにEUROMAP 82.1(OPC UA通信機能)への対応が必要です。いずれもオプションとなります。

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