2025年10月8日~10月15日までデュッセルドルフ/ドイツで開催された世界最大級プラスチック・ゴム産業展「K 2025」に欧州拠点であるSumitomo (SHI) Demagとして出展しました。展示コンセプト「Today. Tomorrow. Electric.」のもと、欧州での電動化ニーズの加速を背景に、各協賛メーカー様と共にオール電動の成形技術を披露、日本からも精工技研様と共同開発した型内塗装技術「SSIMC」の参考出展を行いました。当社ブースには世界各国から多くのお客様にご来場いただき、当社の革新的なソリューションをグローバル市場へ発信する貴重な機会となりました。

本実演では、医療や容器分野で求められる超薄肉・高速成形を全電動高速射出成形機PAC‑Eシリーズを用いて披露。医療用ピルカップを48キャビティで成形しました。サイクルタイムはわずか2.6秒という圧倒的な高速成形を実現しました。高速射出性能と精密制御により、医療分野で求められる品質を確保することができます。またオートメーションは、Zubler Handling様製のサイドエントリーロボットを組み合わせ、取出時間は0.6秒未満、さらにカメラによる全数検査(3秒サイクルで96枚)を実現しています。このシステムは医療分野の大量生産におけるスピード・精度・信頼性を兼ね備えた先進システムです。
<仕様データ>
肉厚:0.3mm
サイクルタイム:2.6秒
キャビティ:48個
材料:INEOS 200‑CA70

本実演では、複雑な成形と組立を一台で完結できる型内組立プロセスを全電動二材射出成形機「IntElect Multi」シリーズを用いて披露。IMAポンプを4キャビティ・3ステージで成形しました。SEBS(TPE)とPPの2材質を組み合わせ、インデックスプレートを使用して成形された部品を次のステージへ移動させながら組立を進めることで、別工程での組立が不要となり、効率と精度を大幅に向上します。
さらに、当社開発の取出ロボット「SAM-C20」を固定側プラテンに搭載し、部品の搬送、真空固定、スプルー処理までを一貫して行いました。ロボットはモータ駆動の手首軸を備え、コンパクトなフットプリントで高い柔軟性を確保します。これにより、複雑な多段成形と組立を省スペースで実現し、医療や精密分野に求められる高品質・高信頼性を担保しながら、大量生産を実現します。
<仕様データ>
サイクルタイム:約38秒
キャビティ:4個(3ステージ)
材料:SEBS(TPE)+PP
取出機ロボット:SAM-C20

本実演では、ターンキー生産セルで飲料用キャップを全電動射出高速成形機「PAC-E」シリーズを用いて成形しました。このターンキー生産セルは、成形機だけでなくホットランナーコントローラー、除湿装置、プリンター、搬送・検査・包装設備まで一式を組み込んだ完全自動化構成になっています。プリンターもインラインで搭載しており、成形後すぐに印字まで完了します。さらに、エネルギー消費は当社ハイブリッド射出成形機(El-Exis SP)に比べて約42%削減され、環境保全に配慮しながら大量生産を実現します。
<仕様データ>
サイクルタイム:約2.0秒
キャビティ:72個
材料:TotalEnergies HD608

本実演では、液状シリコーンゴム(LSR)を使ったHVコネクタ(フレームシール)を全電動射出成形機「IntElect」シリーズを用い、成形しました。LSRパッケージを搭載したIntElectに加え、OPC-UAインターフェースを介してドージングユニットと連携しているため、精密な制御が可能です。さらに、「SAM-C10」ロボットとNexus製EOATの連携により、製品の自動取出しから安全ガード内への部品配置までを一貫して実行し、省スペースで高効率な生産セルを構築しました。LSRに求められる高精度要求への対応と省エネに加え、自動化による工程の簡素化と品質管理の強化で人的作業の削減を可能とします。
<仕様データ>
サイクルタイム:約25秒
キャビティ:32個
材料:Momentive Silopren 2040
取出機ロボット:SAM-C10

株式会社精工技研様と共同開発を進めている型内塗装技術「SSIMC」を世界で初めて展示会の場で披露。当社および精工技研様の説明員が、概要説明動画と多彩なサンプルを前に、多くの来場者とコミュニケーションしました。「SSIMC」は、当社全電動二材成形機(SE-DU-CI)を用いた型内塗装システムです。成形機の操作側に注入機を内蔵し、成形と同時に金型内で塗装を行うことができるため、従来の塗装工程を大幅に簡素化し、環境負荷とコストを削減することが可能です。従来のスプレー塗装では、塗料のロスや乾燥設備、排気処理が必要でしたが、SSIMCでは塗料ロスをほぼゼロに抑え、CO₂排出量を約60%削減できます。さらに、金型面転写による高精度な塗膜形成で、異物混入を防ぎ、3D形状やシボ面にも均一な厚膜塗装を実現します。注目すべきポイントとしては、トグル型締に加え、操作側に搭載している注入機側のみ射出軸型締(多段階型締)が可能な点であり、文字意匠などの複雑なデザインにも対応可能です。設備は成形機サイズ内に収まるコンパクト設計で、省スペース化を実現し、既存ラインへの導入も容易です。「SSIMC」は、自動車内装、家電、精密部品など幅広い分野での活躍が期待され、環境対応と高意匠性を両立する次世代ソリューションとして注目を集めています。今回の展示では、日本国内のみならず海外からも想像以上に大きな反響をいただきました。ご来場いただいたお客様からは「詳細なプレゼンを聞きたい」「すぐに導入を検討したい」といった声を頂戴し、技術の革新性と実用性に対する期待の高さを感じました。多くのお客様に環境負荷低減と高意匠性を両立するこの新技術に強い関心を寄せていただき、精工技研様と共にその期待に応えるべく、開発を加速してまいります。

<展示サンプル>
スイッチ部品、ダイヤル、コンパクト、カーシェイプ
下記動画にて、当社ブースで展示した「SSIMC」の概要をご覧いただけます。
プラスチック成形業界は今、電動化、環境対応、そしてスマートファクトリー化がさらに強く求められています。今回のK-Show 2025で当社が示したのは、単なる射出成形機の進化ではありません。欧州における全電動成形機へのシフトを示すことに加え、前後工程を含めたトータルソリューションの実現の姿を披露しました。
引き続きお客様の課題を解決する革新的な技術を開発し続け、未来のものづくりを支えるパートナーとして、国内外のお客様にグローバルなネットワークを活かし、新しい価値を届けてまいります。
本記事で紹介した、射出成形機(IntElect及びPAC-E)及びロボット(SAM-C)は日本国内では販売しておりません。日本国外での取扱い詳細はお問い合わせください。
型内塗装「SSIMC」についても、販売時期及び地域は未定です。
各種お問合せについては、下記のフォームよりご連絡ください。
*Sumitomo(SHI) Demag製品の詳細はこちらからご覧ください。