工業用、動力用の配線器具を提供されている製造メーカーです。同業他社に先駆け、40年以上前よりナイロン樹脂を使った大きなサイズの成形品を製造しています。長年培った独自ノウハウや自社製金型で成形難易度の高い、難燃グレードV-0の樹脂でもキレイな外観仕上げを得意とされています。
成形品のカラーバリエーションも豊富で、黒(ダークグレー)、白(ライトグレー)は自社オリジナルの色展開であるほか、お客様目線でコンセントの挿入間違え防止のため、赤、青など系統別に色分けをする提案を実施されています。
アメリカン電機様工場
成形品であるコンセントは穴が多く、複雑な構造であるためサイクルタイムが長くなり、スクリュ内における樹脂の滞留時間が長くなりがちです。
加えて使用樹脂は難燃剤を含有したナイロン(PA66)でガス発生量が多いため、スクリュ内にガスが残ってしまい、結果としてシルバーやガスヤケ不良が多発してしまう点が課題でした。それに付随してガスベントに汚れがたまりやすく金型のメンテナンス回数も課題として認識されていました。
課題解決のために、当社の千葉テクノロジーセンターに一番不良率の高い金型を持ち込み、当社の成形技術員が成形条件出しからトライを実施しました。
良品条件の作りこみ後、型締力波形、ピーク型締力の実績値を確認しながら型締力を下げ限界値を探っていきました。
その結果、トライ開始から2時間程度でシルバーやガスヤケの発生がない成形ができました。低型締力によりガス逃げが促進され製品表面の光沢も良くなりました。
また、時間をおいての再トライで再現性が高かったこともご評価いただいております。
アメリカン電機様は成形難易度の高いナイロン成形のパイオニアであり、社内で条件出しに腐心されていました。
今回実施した説明会にて成形条件の理論や設定方法の理解をさらに深めていただいた技術者の皆様により、様々な成形品に応用いただいています。
成形風景
左から 山田様、増田様、小宮様、小谷様、小池様
低射出圧力機能(FFC)により、「無理やり樹脂を入れ込むことなくショートショットが防げている」とお話しいただきました。さらに高型締力かつ高射出圧力での成形がこれまでの通念でしたが、低型締力機能(MCM)により金型内のガス滞留が減り、シルバーやガスヤケも抑制でき、結果として「不良率は約12%から約2.5%まで低減した」とのこと。劇的な改善効果をご実感いただいています。
成形品
低型締力機能(MCM)により型締力がさがった効果として、不良率の低減だけではなく、サイクルタイムの短縮にもつながったと伺いました。
「保圧や速度制御が画面上で波形にて表示されるため、不具合があった場合の原因がつかみやすい」とお話いただきました。またステップごとに設定ができる成形支援機能で「設定もしやすい」、とインターフェースのわかりやすさ(SPS)にもご好評いただいております。
ガスベントのつまりも減り、従来は2~3時間に1度のメンテナンスを余儀なくされていたところ、1日中成形をし続けても問題がなくなったそうです。
また、定期的な訪問によるアフターサービスにも非常にご満足いただいています。