お知らせ 2014年度
お知らせ
社会医療法人禎心会と陽子線治療システム納入契約を締結

2014年06月10日

住友重機械工業株式会社(社長 別川俊介/以下、住友重機械)は、北海道札幌市の社会医療法人禎心会(理事長 徳田禎久)と陽子線治療システムの納入に係る契約を締結しました。

                   【治療室イメージ】

治療室イメージ

今回、受注した陽子線治療システムは、回転ガントリ照射装置1台(1治療室)を有し、サイクロトロンと上下に配置することにより、敷地面積の節減を可能としています。また、将来的には回転ガントリ照射装置及びその建屋を増設して2治療室とすることを考慮した、世界初の設計となっています。照射機構としては、豊富な実績と信頼性を有する拡大ビーム法(ワブラー法)と最先端の照射方法であるペンシルビームスキャニング照射法の両方を有しており、それぞれの特性を生かして対象疾患に応じた使い分けを行うことが可能です。一方、患者位置決めシステムとして、2次元画像および3次元画像による高精度画像誘導システムを有しています。

陽子線治療は、水素の原子核である陽子を高エネルギーに加速させ、がん細胞のみに集中的に照射する放射線治療法の一種です。がん細胞周囲の正常な細胞に悪影響を与えないため、副作用の少ない治療が可能です。外科手術と異なり、体に優しく、通院治療が可能ながん治療法として、世界中で脚光を浴びています。

社会医療法人禎心会は、札幌市と稚内市で病院3施設、クリニック3施設、20の介護事業所を運営しており、地域医療に大きく貢献しています。今回の陽子線治療施設は札幌市東区に建設される新しい病院に併設される形で建設され、最新のX線による放射線治療とともに、外科手術や化学療法との組合せによる集学的がん治療の一翼を担うことが期待されています。

住友重機械は1997年に日本初、世界でも2番目となる病院設置型の陽子線治療システムを国立がんセンター東病院(現国立がん研究センター東病院)に納入し、その後、15年以上に渡り、安定稼働を継続しています。その後、台湾・長庚紀念病院、社会医療法人財団慈泉会相澤病院(長野県松本市)、韓国・サムスンメディカルセンターより受注し、これら施設では治療開始に向けた準備を進めています。住友重機械は引き続き、納入先病院と協力して陽子線によるがん治療の全世界への普及に貢献してまいります。



1.陽子線治療の特徴

陽子線は荷電粒子線の一つで、水素の原子核である陽子を加速することで得られる放射線です。人体に照射した場合、一定深さで急激にエネルギーを放出(「ブラッグピーク」と言います。)し消滅するという、放射線治療として一般的に使われるX線にはない物理特性があります。ブラッグピークの深さや幅を調整することにより、周囲の正常細胞に悪影響を与えずにがん細胞のみに最大の放射線を照射することが可能です。例えば、脳、心臓、腸管系臓器などの重要臓器に近接するがん細胞にも十分な線量を投与できるとともに副作用の少ない治療が可能です。

2.陽子線治療システムについて

【加速器】
がん治療専用のサイクトロン(※1)により、陽子はエネルギー230MeV (※2)まで加速されます。

【ビーム輸送装置】
サイクロトロンで生成し、加速された陽子線を患者毎に必要なエネルギー量に調整して回転ガントリ照射装置まで運びます。

【回転ガントリ照射装置】
回転ガントリの使用により、患者に苦しい姿勢を強いることなく、陽子線を360度任意の角度から標的がん細胞に照射します。患者位置決め装置、照射ノズル、寝台を備えており、回転ガントリを通過した陽子線は照射ノズルで腫瘍患部に適した形状に成形され、患部に照射されます。



【回転ガントリ照射装置:国立がん研究センター東病院】

回転ガントリ照射装置:国立がん研究センター東病院

(※1) サイクロトロン
円形加速器の一種。水素の原子核である陽子を光速の70%程度まで加速し、透過力の大きい陽子線を発生させます。他の加速器よりも高強度かつ連続的なビーム特性を持つため、肺や肝臓等の呼吸性移動臓器への照射の適応性に優れ、治療時間の短縮や治療回数の低減を実現させる能力を有します。

(※2) MeV(Mega Electron Volts)
eV(Electron Volt, 電子ボルト)はエネルギーの単位の一つ。100万eVが1MeVに相当。