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住友重機械工業株式会社産業機器事業部
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陽子線治療システム

我が国におけるがんによる死亡者数は戦後より増え続け、現在では全死因の1/3を占めるに至り、さらに生活習慣の欧米化なども伴い、今後も増加が予想されています。この状況を鑑み、現在、国を挙げてのがん対策が本格的に取り組まれています。がんの治療法は外科手術、化学療法、放射線治療が三本柱であり、とりわけ、放射線治療は患者の体に優しい治療法としてさらなる普及が望まれています。
陽子線治療は放射線治療の一種であり、他治療法では困難な疾患への治療、他治療法よりも効果が優れる治療、他治療法よりもQOL (Quality of Life: 生活の質)が優れる治療など、対象とする様々な疾患毎に特性があり、現在、国内外で脚光を浴びています。
住友重機械は40年以上に渡る加速器製造技術を応用し、陽子線を発生するサイクロトロンを開発し、照射機構を含めた治療システム一式を提供します。

1. 陽子線治療とは

陽子線は荷電粒子線の一つで、水素の原子核である陽子を高エネルギーに加速することで得られる放射線です。陽子線を人体に照射した場合、一定深さで急激にエネルギーを放出し、消滅する(「ブラッグピーク」と言います。)という、一般的な放射線治療で使われるX線にはない物理特性を有しています。陽子線治療ではこのブラッグピークの深さや幅を調整して標的がん細胞の形状に合わせることにより、近接する重要臓器や正常細胞への影響を抑えながら標的がん細胞に十分な線量を投与することが可能です。これまでに頭頸部がん、肺がん、肝臓がん、食道がん、膵臓がん、前立腺がん等の疾患に対して多くの治療実績が報告されています。

陽子線治療は1950年代より欧米を中心に研究が進められ、日本においては1970年代後半以降に放射線医学総合研究所や筑波大学における臨床研究が開始され、1998年には住友重機械がシステムを納入した国立がんセンター東病院(現国立がん研究センター東病院)における国内初(世界では米国・ロマリンダ大学に続く2番目)の病院設置型陽子線治療施設が稼動を開始しました。現在、陽子線治療装置は世界的に普及が進み、国内では10施設、海外を含めると30施設以上が稼動するという状況に至っています。
陽子線の線量特性 X線と陽子線の比較
陽子線照射とX線照射の違い
拡大ブラッグピークと照射量

2. 住友重機械の陽子線治療システム

陽子線治療システムは、サイクロトロン、ビーム輸送装置、回転ガントリ照射装置(ガントリ、照射ノズル、患者位置決めシステム)などから構成されます。

住友重機械は1970年代初頭よりの加速器メーカーとして長い歴史を有し、陽子線治療に関しては1989年からの国内大学との共同研究を足がかりに、1997年に国立がんセンター東病院(現国立がん研究センター東病院)に陽子線治療システム第1号機を納入しました。その後、2001年に同システムは陽子線治療システムとして国内初の医療機器製造販売承認(*1)を取得し、現在に至るまで長期間に渡り安定稼動を続けています。加えて、2013年11月には米国FDA (510k) 承認を取得しました。
(*1) 医療機器製造販売承認番号: 21300BZZ00130000
2-1.配置形式(平面配置式/上下配置式)

サイクロトロンとガントリの配置に関して、平面配置式または上下配置式(*2)の2種類があります。上下配置式とする場合、平面配置式に比して必要建屋スペースを大幅に縮小し、敷地の制約が大きい場所においても配置することが可能となります。
(*2) 特許取得済み(No. 5373220/5437527)


平面配置式 上下配置式
平面配置式 省スペース型
2-2.サイクロトロン

円形加速器の一種であり、水素の原子核である陽子を光速の70%程度まで加速し、透過力の大きい陽子線を発生させます。このサイクロトロンは陽子線治療専用に開発され、陽子線は230MeV(飛程32cm相当)のエネルギーまで加速されます。他方式の加速器よりも高線量かつ連続的なビームを安定に発生させられる特徴を有するため、呼吸により動く臓器(肺、肝臓、等)への照射の適応性に優れ、治療時間や治療期間(回数)の短縮を実現させる能力を有します。

サイクロトロン@相澤病院殿
相澤病院殿納入機
2-3.回転ガントリ照射装置

回転ガントリの使用により、患者に苦しい姿勢を強いることなく、陽子線を360度任意の角度から標的がん細胞に照射します。回転ガントリ(構造体)と共に照射ノズルや患者位置決めシステム(X線DR装置、治療寝台など)を備えており、回転ガントリを通過した陽子線は照射ノズルにより標的がん細胞の形状に成形して照射されます。

2-4.小型化に伴う設置スペースの大幅削減(小型短軸ガントリ)

新たに開発した小型短軸ガントリにより、必要設置スペースの大幅削減を実現しています。従来の回転ガントリ(以下、従来型ガントリ)はビーム軌道が同一平面内であり、回転直径約10m、回転軸方向の長さ約10mと巨大な構造物であるゆえ、大きな設置スペースを必要としていました。これに対して、小型短軸ガントリではビーム軌道を3次元的に配置することにより、回転軸方向の長さを従来型ガントリに比して50%以下まで短縮しました。これにより、平面配置式における必要建屋面積の大幅削減と共に、土地の制約が大きい場合には上下配置式とすることでさらなる削減が可能となり、顧客が想定する敷地に合わせた柔軟な配置計画を可能とします。

従来型ガントリと小型短軸ガントリの比較 短軸ガントリ
(相澤病院)
短軸ガントリー
サイクロトロン@相澤病院殿
ガントリ照射室(相澤病院)
2-5.高精度照射システム(拡大ビーム照射法/スキャニング照射法)
多目的照射ノズル(*3) またはスキャニング照射ノズルの2種類があります。 多目的照射ノズルでは、拡大ビーム法(ワブラー法)(*4)及びスキャニング法(*5)の照射が可能であり、ハードウェアの交換なしに短時間で切り替えすることが可能です。これにより、対象疾患に合わせて適切な照射法を選択することが可能となります。
(*3) 特許取得済み(No. 05107113)
(*4) 拡大ビーム法: サイクロトロンから発生するビームを照射ノズル内で均一に散乱させて径を大きく広げたうえで、患者毎に製作するビーム成形器具(コリメータ及びボーラス)を使用して、標的がん細胞の形状に合わせて照射する方法。
(*5) スキャニング法:照射ノズル内でペンシル形状に細く絞ったビームを標的がん細胞の形状に合わせて三次元的に塗り潰すように連続的に照射する手法。拡大ビーム法と比較して、より複雑な形状のがんの治療を実現し、周囲の正常細胞への照射線量を抑えることが期待されています。また、拡大ビーム法において患者毎に製作するビーム成形器具(ボーラス及びコリメータ)が不要となるため、ランニングコストの大幅な低減に寄与します。
拡大ビーム法 スキャニング法
拡大ビーム法
スキャニング法
2-6.高精度患者位置決めシステム
自由度が大きく、位置精度の高い6軸自動制御ロボット寝台と直交2方向同時撮影が可能なX線DR装置(検出器:FPD)の組合せにより、高精度な患者位置決めを行います。このX線DR装置はガントリを回転することでコーンビームCT画像の取得も可能です。一方、治療室内に自走式CT(インルームCT)を配置し、6軸自動制御ロボット寝台を診断用及び治療用に共有することで3次元画像による患者位置決めを行うシステムも提供することが可能です。
X線DR装置(直交2方向)による位置決め 自走式CTによる位置決め
拡大ビーム法
スキャニング法
3. 納入実績
施設名 所在地 システム構成
日本 国立がん研究センター 東病院 千葉県柏市 ガントリ治療室2室
水平固定照射室1室
(平面配置式)
社会医療法人財団慈泉会 相澤病院 長野県松本市 ガントリ治療室1室
(上下配置式)
社会医療法人禎心会 札幌禎心会病院 北海道札幌市 ガントリ治療室1室
(上下配置式)
社会医療法人高清会 高井病院 奈良県天理市 ガントリ治療室1室
(上下配置式)
台湾 林口長庚紀念醫院
Chang Gung Memorial Hospital
林口 ガントリ治療室4室
(平面配置式)
高雄長庚紀念醫院
Kaohsiung Chang Gung Memorial Hospital
高雄 ガントリ治療室3室
(平面配置式)
韓国 サムスンメディカルセンター
Samsung Medical Center
ソウル ガントリ治療室2室
(平面配置式)





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