お知らせ

国内初、殺菌消毒剤の電子線滅菌

2012年07月24日

日本電子照射サービス株式会社(本社・東京都品川区、田島豊社長 住友重機械工業60%出資)は、電子線照射による滅菌処理を行う会社です。この度、同社が行うサービスによる電子線滅菌処理をされた殺菌消毒剤の販売が、厚生労働省より承認されました。医薬品である殺菌消毒剤に対する電子線滅菌処理の承認は国内で初めてとなります。

対象となる消毒剤は、ポビドンヨード殺菌消毒剤です。製造はリバテープ製薬株式会社(本社・熊本市北区、星子邦久社長)が行い、同社より電子線滅菌処理の委託を日本電子照射サービスが請け負います。リバテープ製薬が本サービスを利用した滅菌処理による製品販売について薬事申請をしており、2012年6月に医薬品製造販売承認を取得されました。

ポビドンヨード殺菌消毒剤は、病院での手術や患部の殺菌消毒など、広く使用されている医薬品です。最近になって、殺菌消毒剤の微生物汚染の事例が報告され、手術前の消毒など、無菌性を担保する必要のある消毒シーンに使用する殺菌消毒剤について、医療機関から滅菌処理を求める声が上がっていました。従来の滅菌方法では、有効成分の低下などの問題がありましたが、今回の方法ではそれらを解決することができました。

電子線滅菌法は、温度上昇がほとんどなく、フィルム包装やプラスチック容器に対応が可能で、最終包装、梱包のまま瞬時に処理ができる特長があります。現在は、注射器などの医療機器や医薬品容器、実験用器材などの滅菌に広く利用されていますが、今回の承認により、今後これまで滅菌が困難であった医薬品への展開が期待できます。


■医薬品の電子線滅菌の特長


1. 医薬品の最終滅菌保証ができる。
2. 熱処理やろ過ができない医薬品に対応できる可能性がある。
3. ろ過滅菌、無菌操作より確実な滅菌保証ができる。(SAL(滅菌保証レベル)10-3→10-6
4. フィルム包装、プラスチック容器に対応できる。
5. 滅菌処理後すぐに出荷できる。


■その他、電子線滅菌の特長


1. 温度上昇が少なく、最終包装梱包のまま瞬時に滅菌できる。
2. 滅菌バリデーション(科学的妥当性の検証)や、無菌性保証への対応が容易である。
3. 滅菌の判定を線量で行えるため、無菌試験が省略できる規制緩和に対応できる。
4. ガンマ線と同様、放射線滅菌に属するが、発生源として放射性物質を使用せず、電子加速器により電気的に照射するため、放射性物質に関する管理などが不要になる。


補足説明)
滅菌と殺菌の違い:
滅菌とは全ての菌を死滅させることで、日本薬局方では微生物の生存する確率が 100万分の1以下になることをもって、滅菌と定義しています。一方、殺菌は菌を殺すことですが、対象や程度は明確にされていません。

電子線滅菌について:
詳細は、日本電子照射サービスHPをご参照ください。
http://ebis.jp/cont1.html